夢で逢えたら


夢の中でもわたしは彼にこう言ったんだ。

ねー、わたしピのことがとっても大好きなんだ。だから大嫌いになるまで一緒にいてくれる?

彼は、一緒にいてくれるって。そう答えてくれたよ。



夏休みが終わってしまうよ。


夏が終わりかけてる夕方は、まだちょっと蒸し暑くて、だけど確かに涼しい風が吹くようになってきている。虫の鳴き声も、心なしか弱くなってきているような気がする。


彼と出会って、季節が4つ過ぎようとしている。

早いのか遅いのか、よく分からないけれど、まあここまで関係が続くと思ってもなかったし、よく考えると凄いことかもしれない。何もかもが順調だったわけじゃないし、これからのことだって全然分からないけど。

最初に出会った頃のことなんて、もうほとんど覚えていないけれど、仲良くなったきっかけだけはよく覚えているんだ。

好きな食べ物と煙草を吸う理由が同じだった。

もうきっと彼は忘れていると思う。別に覚えていなくていい。わたしにとっては特別な思い出だけどね。


今日は久しぶりに街まで出た。学校に用事があって。

雨上がりの蒸気が漂う空気の中駅まで歩いて汗だくになり、久しぶりに電車と地下鉄に乗っていろんな人の顔を見て、学校で久しぶりに勉強を少しして、好きな先生に会って、知らない人と電話をした。帰るころにはすっかり日が傾いて、少しオレンジがかった雲がとても綺麗に見えた。


最近、ピに話したいことがないと思ったいたけど、何かをしないと話したいことってないんだなってぼんやり思った。

例えば空が綺麗だった話とか、夏が終わりかけているのが空気とか温度とか風でわかるよねっていう話とか、そういえば夏が終わったら秋が来て、秋はわたしたちが出会った季節だっていう話とか…。

わたしはつまらない女だ。

だけど、彼が選んでくれた女だ。

面白い話はたぶん死んでもできないけれど、自分が見たこと、聞いたこと、感じたこと、それらを彼に話したい。彼にわたしがどんなことをして生きているのかを知って欲しい。

そういう風に話せばいいのかな。

同じだけ彼のことも、どんなことをしてどんなことを考えて生きているのか、知りたい。

彼の生きている時間をもらっているのだから、しりとりとかしてないで、もっといろんな話をしなきゃなあとか…思うけど、難しいね。



毎晩彼から電話かけてこないかなって待ちながら、いつの間にか寝ているよ。そしたら夢に出てくるんだ。夢でもわたしは好き好き甘えていて、彼は笑って受け止めてくれる。

こんな話をしたら笑われちゃうな。


はやくまた電話したいなーって思う夜。まる。